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相続で必要な残高証明書とは?取得方法と注意点を解説

相続で必要な残高証明書とは?取得方法と注意点を解説

相続手続きを進める中で、「残高証明書」という書類の提出を求められることがあります。通帳があれば足りるのではないかと疑問に思われる方も多いですが、残高証明書は相続税申告や遺産分割協議において重要な役割を果たす資料です。特に、被相続人が亡くなった日時点の正確な預貯金額を証明するためには欠かせません。
本記事では、残高証明書の基本的な意味から、取得方法や必要書類、手数料の目安、注意点までを整理し、相続手続きをスムーズに進めるためのポイントをわかりやすく解説します。

この記事を要約すると

  • 残高証明書とは、銀行などの金融機関が発行する「特定の日時点における口座残高」を証明する書類です。相続では、被相続人が亡くなった日時点の残高を明らかにするために取得します。
  • 残高証明書の取得には、被相続人の死亡や相続関係を確認できる戸籍、申請者の本人確認書類、印鑑証明書などが必要です。相続人であれば他の相続人の同意を得ることなく請求することができ、金融機関ごとに手続きします。
  • 残高証明書の発行手数料は金融機関ごとに異なりますが、1通あたり数百円から1,000円程度が目安です。定期預金がある場合は、経過利息の計算に別途費用がかかることもあります。

1. 相続における残高証明書とは何か

1-1. 残高証明書の基本と役割

残高証明書ざんだかしょうめいしょとは、銀行などの金融機関が発行する「特定の日時点における口座残高」を証明する書類です。

相続では、被相続人が亡くなった日時点の残高を明らかにするために取得します。

預貯金は日々変動するため、正確な金額を把握するには基準となる時点を定める必要があります。残高証明書は、その時点の残高を金融機関が公式に証明するものです。

相続においては、被相続人が亡くなった日時点の残高を基準として財産を確定します。

また、普通預金だけでなく、定期預金や場合によっては借入金なども含めて記載されるため、その金融機関における取引状況をまとめて確認できる点も特徴です。

相続手続きにおいては、残高証明書は相続財産の内容と金額を客観的に確認するための重要な役割を果たします。

1-2. 通帳コピーとの違い

残高証明書と通帳のコピーは似ていますが、性質は大きく異なります。

残高証明書は金融機関が発行する正式な証明書であり、その内容に対して証明力があります。一方、通帳は取引履歴の記録にすぎず、必ずしも必要とする時点での残高が記載されているとは限りません。

また、通帳は手元にある口座の記録を確認するものにとどまり、被相続人がその金融機関で保有しているすべての口座を網羅しているとは限りません。

過去に開設した口座や別の支店の口座が存在する可能性もあるため、通帳だけで預貯金の全体像を把握することは難しい場合があります。

そのため、預貯金の状況を正確に確認するためには、残高証明書を取得しておくことが重要になります。

通帳は補助的な資料として活用しつつ、残高証明書によって金額の裏付けを取ることで、より確実に手続きを進めやすくなります。

1-3. 相続で必要になる主な場面

残高証明書は、主に「相続税申告」や「遺産分割」の場面で利用されます。

相続ではまず、被相続人の財産を正確に把握し、相続税の申告が必要かどうかを判断する必要があります。

そして、相続税の申告が必要となる場合には、預貯金についても死亡日時点の残高をもとに評価するため、その金額の根拠となる資料を用意しておくことが重要です。

相続税がかかるかどうかは、遺産総額が基礎控除額を超えるかどうかで判断されるため、この点もあわせて確認しておくと安心です。

一方で、相続税の申告が不要な場合の遺産分割においては、残高証明書の取得が必須とされているわけではありません。相続人間で預貯金の金額について認識が一致している場合には、通帳の内容をもとに話し合いが進められることもあります。

ただし、次のような場合には残高証明書を取得しておくと役立ちます。

  • 正確な預金残高を前提に、納得感のある形で遺産分割を進めたい場合
  • 被相続人が複数の支店や口座を持っている可能性があり、全体像を把握しておきたい場合

このようなケースでは、客観的な資料として残高証明書を取得しておくことで、認識のズレを防ぎ、手続きを円滑に進めやすくなります。

2. 残高証明書はいつ・なぜ取得するのか

2-1. 取得すべきタイミング

残高証明書は、相続が発生した後、できるだけ早い段階で取得することが望ましい書類です。

相続手続きでは財産の把握から始まるため、預貯金の正確な金額を早期に確認しておくことで、その後の手続きがスムーズに進みます。

実際には、葬儀や四十九日を終えた後に動き出すケースも多いですが、金融機関によっては発行までに数週間かかることがあります。

必要なタイミングになってから申請すると手続き全体が遅れてしまうため、財産調査を始める段階であわせて取得を検討しておくと安心です。

2-2. 取得時に注意すべき「日付」

残高証明書を取得する際に最も重要なのが、「どの日付の残高で発行するか」という点です。

相続では、被相続人が亡くなった日を基準として財産を評価するため、必ずその日付で依頼する必要があります。

もし依頼日など別の日付で取得してしまうと、遺産分割の資料や相続税の根拠として使えず、再度取得し直すことになりかねません。

結果として手間や費用が増えるだけでなく、相続人間での認識のズレにつながるおそれもあります。申請時には日付の指定を慎重に確認することが大切です。

2-3. 相続放棄との関係(3か月ルール)

相続が発生すると、相続人は原則として3か月以内に「相続するか放棄するか」を判断しなければなりません。

この判断をするためには、財産の内容を把握しておくことが前提となります。

残高証明書は、預貯金の状況を確認するための資料として、この判断材料の一つになります。例えば、預金よりも借入が多い可能性がある場合などには、早めに財産の状況を把握しておくことが重要です。

発行に時間がかかることも踏まえ、期限を意識して余裕をもって準備する必要があります。

2-4. 口座凍結との関係

金融機関に被相続人の死亡を伝えると、通常は口座が凍結され、入出金や引き落としができなくなります。

残高証明書の取得手続きは、この口座凍結とあわせて進められることになります。

金融機関によっては、相続の申出と同時に手続きの案内が行われるため、残高証明書の発行もその流れの中で進めていくことになります。

このように、残高証明書の取得は口座凍結と切り離せない関係にあるため、手続きの流れとしてあわせて理解しておくことが大切です。

3. 残高証明書の取得方法と必要なもの

3-1. どこに申請するのか

残高証明書は、被相続人が取引していた金融機関ごとに申請します。対象は銀行だけでなく、信用金庫や証券会社なども含まれます。

重要なのは、金融機関ごとに個別に手続きが必要という点です。複数の金融機関に口座がある場合は、それぞれに対して申請しなければなりません。

どこに口座があるか不明な場合は、通帳や郵便物などから手がかりを探し、それをもとに各金融機関へ確認していくことになります。

3-2. 誰が請求できるのか

残高証明書は、一定の立場にある人であれば請求できます。

  • 相続人(単独で申請可能
  • 遺言執行者
  • 相続財産清算人

また、これらの方から委任を受けた代理人による申請も可能です。

専門家に依頼した場合は、委任状を含めた必要書類について案内がありますので、その内容に沿って準備を進めれば問題ありません。

金融機関によって取扱いが異なる場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。

3-3. 必要書類一覧

残高証明書の申請には、相続関係や本人確認を証明する書類が必要になります。主な書類は以下のとおりです。

書類内容
戸籍謄本(除籍謄本)等被相続人の死亡および申請者が相続人であることの証明のため
本人確認書類運転免許証など
印鑑証明書・実印申請者のもの。発行から3〜6ヶ月以内の期限あり
通帳・キャッシュカードあると手続きがスムーズ。紛失していても手続き可能。
委任状代理人が申請する場合
法定相続情報一覧図戸籍の代替として利用可能

金融機関によって求められる書類が異なることもあるため、事前に確認しておくことが大切です。

3-4. 取得方法(窓口・郵送)

申請方法は主に「窓口」と「郵送」の2つがあります。

窓口の場合は、その場で申請書を記入し、書類を提出します。即日または数日で発行されるケースもありますが、混雑状況によっては後日の受け取りとなることもあります。

金融機関によっては来店予約が必要な場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。

一方、郵送での申請は来店の手間が省ける反面、書類のやり取りに時間がかかるため、発行まで2〜3週間程度を見込んでおく必要があります。

金融機関ごとに対応が異なるため、急ぎの場合は窓口での申請が適しています。

また、金融機関によっては、口座の有無を確認する手続きが必要となるなど、発行までに複数の手順を要する場合もあります。

3-5. 取得の流れ(実務フロー)

実際の手続きは、次の流れで進みます。

  • 金融機関へ連絡し、口座凍結や手続き方法を確認
  • 必要書類を準備
  • 申請書を提出(窓口または郵送)
  • 残高証明書の発行・受け取り

事前に流れを把握しておくことで、手続きをスムーズに進めやすくなります。特に複数の金融機関に申請する場合は、同時並行で進めることを意識しておくと効率的です。

4. 残高証明書の手数料と発行期間

4-1. 発行手数料の目安

残高証明書の発行には、金融機関ごとに手数料がかかります。

1通あたりの目安は数百円〜1,000円程度で設定されていることが多く、口座数や発行部数に応じて費用が増えていきます。

以下は、主な金融機関の手数料の一例です(2026年5月時点)。

金融機関手数料
ゆうちょ銀行1,100円(税込)/通 ※口座名義・住所が同じ口座は1通に連記可能
三菱UFJ銀行770円(税込)/通
三井住友銀行880円(税込)/通
みずほ銀行880円(税込)/通

同じ金融機関でも発行方法や内容によって金額が変わることがあります。

複数の口座について証明書を取得する場合は、その分だけ費用がかかる点もあらかじめ確認しておくと安心です。

4-2. 経過利息の費用

定期預金がある場合には、残高証明書とは別に「経過利息」の計算に関する費用が発生することがあります。

これは、満期前であっても亡くなった日までに発生している利息を算出するためのものです。

金融機関によっては、残高証明書とは別に計算書の発行手数料が設定されており、数千円程度の費用がかかるケースもあります。

費用の有無や金額は金融機関ごとに異なるため、申請時にあわせて確認しておくと安心です。

特に定期預金が複数ある場合は、その分だけ費用が増えることもあるため、事前に全体の費用感を把握しておくことが大切です。

4-3. 発行までの期間

残高証明書は、申請してすぐに受け取れるとは限りません。

発行までには2〜3週間程度かかることが多く、特に郵送で申請する場合はさらに日数に余裕を見ておく必要があります。

窓口で申請した場合には、即日または数日で発行されることもありますが、取引内容や手続き状況によっては時間がかかることもあります。

相続手続きのスケジュールに影響しないよう、早めに動いておくと安心です。

4-4. 複数口座がある場合の注意点

被相続人が複数の金融機関や支店に口座を持っている場合、それぞれについて残高証明書を取得する必要があります。

そのため、口座数が多いほど手数料や手間が増える点に注意が必要です。

こうした場合には、金融機関の「名寄せ」という手続きを活用することで、同一金融機関内の口座をまとめて確認できることがあります。

見落としを防ぐためにも、口座の全体像を把握しながら進めていくことが大切です。

5. 残高証明書を取得する際の注意点

5-1. 死亡日で取得する(最重要)

残高証明書の取得でよくあるのが、日付の指定に関するミスです。

申請時に日付を指定し忘れたり、現在の残高で発行してしまうケースも見られます。

このような場合、そのままでは相続手続きに使用できず、再度発行を依頼する必要が生じることがあります。結果として手間や費用が増えてしまうため注意が必要です。

申請時には、被相続人が亡くなった日を基準とすることを前提に、日付の指定が正しく行われているかを必ず確認しておくことが大切です。

5-2. 経過利息の見落とし

定期預金がある場合、経過利息の確認漏れには注意が必要です。

残高証明書の取得時に依頼していないと、利息が証明書に含まれていなかったり、別途書類として発行されていたりすることがあります。

そのまま手続きを進めてしまうと、後から金額の修正が必要になる可能性もあります。

申請時には、経過利息がどのように扱われるかを確認しておくと安心です。

5-3. 口座凍結による影響

金融機関に被相続人の死亡を伝えると、口座が凍結されることになります。

残高証明書の発行手続きも、この申出とあわせて進められることが多く、結果として入出金ができなくなります。

口座が凍結されると、公共料金やクレジットカードの引き落としが停止することがあります。これにより、支払いの遅れや手続きのやり直しが発生することもあるため注意が必要です。

特に、被相続人の口座から継続的に支払いが行われていた場合には、そのままにしておくと生活面に影響が出る可能性があります。

どの支払いが該当しているかを確認し、必要に応じて別の口座への変更や支払い方法の見直しを検討しておくと安心です。

口座凍結は避けられない手続きの一つですが、事前に対応しておくことで、影響を最小限に抑えながら進めることができます。

5-4. 他の口座の見落とし(名寄せ)

被相続人が複数の口座を持っているケースは少なくありません。特に、過去に開設した口座などは把握されていないこともあります。

このような場合、金融機関に照会することで、その金融機関における同一名義の口座を確認できることがあります。

見落としがあると、後から財産が判明し、手続きのやり直しにつながる可能性もあるため、全体を把握することが重要です。

5-5. 早めに動くべき理由

残高証明書の取得には時間がかかることがあり、準備が遅れると相続手続き全体に影響が出ることがあります。

特に、相続税の申告には期限があるため、余裕をもって進めていく必要があります。

また、金融機関ごとに手続きが分かれるため、後回しにすると対応が重なり負担が大きくなりがちです。手続きの流れを意識しながら、早めに着手しておくと安心です。

6. よくある質問(Q&A)

Q1. 残高証明書は必ず取得しなければなりませんか?
A1. 必ずしも取得が必要とは限りません。ただし、相続税申告が必要な場合や、遺産分割で正確な金額を共有したい場合には、取得しておくと手続きをスムーズに進めやすくなります。
Q2. 通帳のコピーだけではだめですか?
A2. 通帳のコピーでも参考にはなりますが、未記帳の取引や他の口座の有無までは確認できません。正確な残高を証明する資料としては、残高証明書を取得しておく方が安心です。
Q3. 相続人の一人だけで取得できますか?
A3. 相続人であれば、他の相続人の同意がなくても単独で申請できる場合があります。ただし、金融機関によって必要書類や手続きが異なるため、事前に確認しておくと安心です。
Q4. 残高証明書の手数料はいくらですか?
A4. 金融機関によって異なりますが、1通あたり数百円〜1,000円程度が目安です。口座数や発行部数によって費用が増えることもあるため、事前に確認しておくと安心です。
Q5. どの時点の残高で取得すべきですか?
A5. 相続では、被相続人が亡くなった日時点の残高を基準に財産を評価します。そのため、残高証明書も死亡日を指定して取得することが重要です。

7. nocosにできること

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正木 博

保有資格・・・司法書士・行政書士・社会保険労務士・宅地建物取引士
得意分野・・・相続全般(特に遺言・相続手続きなど)

年間約30件ほどのセミナーを行い、
これまで携わった相続手続き累計件数 5,000件以上

宮城県司法書士所属 登録番号 宮城 第769号

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