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公正証書遺言の証人は誰に頼む?なれる人・なれない人と費用を解説

公正証書遺言の証人は誰に頼む?なれる人・なれない人と費用を解説

公正証書遺言を作成しようとすると、「証人を2人用意してください」と言われ、誰に頼めばよいのか戸惑う方は少なくありません。親族や知人に頼んでもよいのか、費用の支払いは必要なのかなど、不安に感じる場面も多いことでしょう。公正証書遺言は、公証人が作成に関わるため、内容や形式の面で安心感のある遺言方法です。ただし、証人の選び方を間違えてしまうと、せっかく作成した遺言が無効になってしまうこともあります。そのため、あらかじめ基本的なルールや注意点を知っておくことが大切です。
この記事では、公正証書遺言の証人になれる人・なれない人の違いや、誰に依頼すればよいのか、費用の目安などを中心に、証人が見つからない場合の対処法やよくある疑問も含めて、初めての方にも分かりやすく解説します。

この記事を要約すると

  • 公正証書遺言では、作成の場に証人2人が立ち会うことが法律で定められています。証人に資格は不要ですが、未成年者や相続人、遺言で財産を受け取る人などは証人になれません。誤った人選をすると、内容に問題がなくても遺言が無効になる可能性があるため、証人になれる人・なれない人を正しく理解することが重要です。
  • 公正証書遺言では証人2人が必要ですが、必ずしも身近な人に依頼する必要はありません。知人に頼めない場合は、公証役場で証人を紹介してもらう方法や、司法書士・弁護士などの専門家に公正証書遺言作成の相談を含めて依頼する方法があります。
  • 公正証書遺言に有効期限はなく、遺言者が亡くなった時点で効力が生じます。生前は撤回・変更が可能です。内容を変更したい場合は、新たに公正証書遺言を作成し直します。その際も証人2人が必要ですが、以前の証人が自動的に証人になるのではなく、条件を満たしていれば同じ人に再び証人を依頼することは可能です。

1. 公正証書遺言の証人の役割と必要性 

公正証書遺言を作成する際には、公証人に加えて「証人」が2人必要とされています。

「証人」と聞くと、裁判やトラブルを想像して不安になる方もいるかもしれませんが、実際には特別な判断や責任を求められる立場ではありません。

証人は、公証人が遺言作成の手続きを進める場に同席し、その手続きに立ち会う立場です。あらかじめ役割を知っておくことで、証人選びについても落ち着いて考えられるようになります。

1-1. 公正証書遺言にはなぜ証人が必要なのか

公正証書遺言とは、公証役場で公証人が遺言者から内容を聞き取り、文書を作成する遺言書です。

遺言の内容や形式についての確認は、公証人が行いますが、その手続きには証人2人が同席することも法律で定められています。

これは、遺言がどのような状況で作成されたのかを、第三者がその場で見届けるためです。

たとえば、遺言者が自分の考えをきちんと伝えられているか、無理に話を進められている状況ではないかといった点について、公証人が確認を行い、証人はその手続きに立ち会います。

具体的には、遺言者が誰かに強制されたり、判断能力が不十分な状態で遺言をしていないかといった点を、公証人だけでなく証人も立ち会って確認します。

このように、公正証書遺言では

・遺言者本人
・公証人
・証人2人

の合計4人が同じ場に集まり、公証人のもとで手続きが進められます。こうした形で作成されることで、後になって経緯をめぐる疑問が生じにくい遺言書になります。

1-2. 公正証書遺言の作成に立ち会う証人の役割

公正証書遺言における証人の役割は、遺言の内容について意見を述べたり、助言をしたりすることではありません。

証人に求められているのは、公証人が行う遺言作成の手続きに同席し、その流れを見届けたうえで署名と押印をすることです。

当日は、公証人が遺言の内容を読み上げ、遺言者がその内容を確認したうえで署名・押印を行います。証人は、その一連の流れに立ち会い、最後に署名と押印をします。

そのため、証人には法律の専門知識は求められておらず、特別な準備も必要ありません。公証役場での手続きに立ち会い、本人確認書類と印鑑を持参すれば足ります。

所要時間も、一般的には30分から1時間程度です。

証人の役割を正しく理解し、「重い責任を負わされるのではないか」といった過度な不安を感じる必要はないでしょう。

2. 公正証書遺言の証人に、なれる人・なれない人 

公正証書遺言の証人になるために、特別な資格や専門知識は必要ありません。

一方で、法律上「証人になれない人」が定められており、これに該当する人が証人になると、遺言が無効になってしまう可能性があります。

そのため、証人を選ぶ際には、「誰に頼めるか」だけでなく、「誰は避けるべきか」をあらかじめ知っておくことが大切です。

2-1. 公正証書遺言の証人になれない人

次のような人は、公正証書遺言の証人になることができません。

  1. 未成年者
  2. 将来、相続人になる可能性のある立場の人
  3. 遺言によって財産を受け取る人
  4. ②と③の配偶者や直系の親族
  5. 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

これらの人は、遺言の内容によって直接または間接に影響を受ける立場にあるため、証人として立ち会うことが認められていません。

もし、このような人が証人になってしまうと、内容に問題がなくても、遺言全体が無効になる可能性があります。

2-2. 親族や知人が証人になれるかは、相続との関係で判断する

「親族に頼んでもよいのか」「知人なら問題ないのか」と迷われる方は多いですが、判断のポイントは、相続や遺言の内容に関係がある立場かどうかです。

たとえば、配偶者や子どもなど相続人となる人は証人になれませんが、相続に関係しない親族や、遺言の内容と無関係な知人であれば、証人になれる場合もあります。

ただし、親族の場合は範囲が広く、判断が難しいケースも少なくありません。

少しでも迷う場合は、「たぶん大丈夫だろう」と自己判断せず、公証役場や専門家に事前に確認しておくと安心です。

2-3. 証人選びに不安がある場合は、専門家に依頼する方法もある

証人になれない人の範囲を知ると、「頼める人がいないのでは」と感じる方もいるかもしれません。

しかし、証人は必ずしも身近な人にお願いしなければならないものではありません。公証役場で証人を紹介してもらう方法や、専門家に依頼する方法もあり、状況に応じて選ぶことができます。

これらの方法であれば、証人として問題がないかを一から自分で判断する必要がなく、手続きを安心して進めやすくなります。

証人になれるか否かは形式的な要件で判断されるため、後から「実は証人になれない立場だった」と分かると、内容に問題がなくても手続き全体に影響が出てしまうことがあります。

そのため、少しでも迷う場合は、「誰に頼めるか」だけで悩まずに、公証人や専門家に相談しながら進めていくと安心です。

3. 公正証書遺言の証人を選ぶ3つの方法 

公正証書遺言の証人は、法律の条件を満たしていれば誰に依頼しても構いませんが、実際の選び方は大きく分けて3つに整理できます。

それぞれ、費用・安心感・手間等のバランスが異なるため、ご自身の状況に合った方法を選ぶことが大切です。

どの方法が正解というわけではなく、「何を重視したいか」によって適した選び方が変わります。

3-1. 知人に証人をお願いする方法

法律の条件を満たす知人が身近にいる場合は、その人に証人をお願いする方法があります。

この方法は費用を抑えやすく、日程調整もしやすい点が特徴ですが、証人は将来、遺言の有効性が争われた場合に、裁判で当時の状況について証言を求められる可能性もあります。

そのため、単に知り合いであるというだけでなく、中立性があり、冷静に事実を説明できる人物を選ぶことが重要です。

法律上、知人に証人を依頼する場合、報酬を支払う義務はありませんが、実際には、お礼として金銭をお渡しするケースもあります。

なお、当日は公証役場に同行してもらう必要があるため、事前に所要時間(30分〜1時間程度)や持ち物(本人確認書類・印鑑)について説明しておくと安心です。

3-2. 公証役場で紹介してもらう方法

身近に頼める人がいない場合は、公証役場で証人を紹介してもらうことができます。この方法であれば、証人の適格性について悩む必要がなく、手続きを確実に進められます。

費用の目安は、証人1人につき6,000円〜1万円程度です。

金額や対応は公証役場ごとに異なるため、事前に確認しておくと安心です。

「知人に頼むのは気が引ける」「内容を知られたくない」といった場合には、現実的で利用しやすい選択肢といえるでしょう。

3-3. 司法書士や弁護士など専門家に依頼する方法

証人の手配だけでなく、遺言の内容や進め方についても相談したい場合は、司法書士や弁護士などの専門家に依頼する方法があります。

この場合、証人の確保とあわせて、遺言作成全体をサポートしてもらう形になるのが一般的です。

費用は、内容や対応範囲によって異なりますが、全体のサポート費用として数万円から10万円以上が想定されます。

他の方法に比べて費用はかかりますが、判断に迷う点が多い場合や、将来のトラブルが心配な場合には、安心して進めやすい方法です。

証人を依頼する相手費用の目安特徴・注意点
知人・友人報酬の定めはない
(謝礼を渡すケースもある)
法律上、報酬の支払い義務はない。謝礼を渡すかどうかは当事者間の判断となる。
証人としての適格性や内容を知られても問題ないかの配慮が必要。
公証役場で紹介1人あたり1万円前後公証役場が証人として適格な人を手配するため、形式面での不安が少ない。
金額や対応は公証役場ごとに異なるため、事前確認が望ましい。
司法書士・弁護士依頼内容により異なる証人の手配に加え、遺言内容について法律相談ができ、手続き全体を任せられる点が特徴。
費用は内容やサポート範囲によって変わるが、安心感を重視したい場合に選ばれることが多い。

証人の選び方は、費用の違いが分かりやすいため「できるだけ安く済ませたい」と考えがちです。

しかし、証人は単なる立会人ではなく、遺言者の意思能力や手続の適正さを担保する重要な役割を担います。

将来、遺言の有効性が争われた場合には、当時の状況について説明を求められることもあります。

そのため、費用だけで判断するのではなく、「中立性が保てるか」「事実を冷静に説明できるか」「内容を知られても問題ないか」など、自分が何を重視するかを基準に選ぶことが大切です。

4. 公正証書遺言作成の流れと証人が関わる場面 

公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成する遺言書ですが、作成当日だけで完成するものではありません。

事前の準備から当日の手続きまで、いくつかの段階を踏んで進められます。

ここでは、公正証書遺言の一般的な流れと、その中で証人がどの場面に関わるのかを整理してご説明します。

4-1. 公正証書遺言は事前準備から始まる

公正証書遺言を作成する際は、まず公証人に対して、遺言の内容を事前に伝える必要があります。

多くの場合、次のような準備を行います。

  • 遺言で誰に何を残したいかを整理する
  • 財産の内容(不動産、預貯金など)を確認する
  • 必要書類をそろえる
  • 証人2人を手配する

この「証人2人の手配」は、遺言作成当日に確実に立ち会ってもらうために、事前に行っておく必要があります。

具体的には、前述したとおり、①知人に依頼する、②公証役場で紹介してもらう、③専門家に依頼するといった方法から選び、作成日・場所・所要時間をあらかじめ伝えて了承を得ておくことが大切です。

この段階では、証人が遺言の内容を確認したり、公証人との打ち合わせに同席したりする必要はありません。

証人が実際に関わるのは、公正証書遺言を作成する当日であり、事前準備の段階では「立ち会ってもらう人を決めておく」ことが目的になります。

なお、遺言の内容について公証人と打ち合わせを行い、公証人が文案を作成します。

4-2. 作成当日は、証人2人が立ち会う

証人が関わるのは、公正証書遺言を実際に作成する当日です。

当日は原則として、遺言者本人・公証人・証人2人が同じ場に集まります。

まず行われるのは、遺言者本人と証人の本人確認です。公証人が、遺言者と証人の本人確認(身分証の確認)を行います。証人が「本人かどうかを判定する」わけではなく、公証人の確認が行われる場に同席します。

その後、公証人が事前に作成した遺言の内容を読み上げ、遺言者に内容の確認をします。

遺言者が「この内容で間違いない」と確認できたら、遺言者が署名と押印を行い、続いて証人2人も署名と押印をします。最後に公証人が署名と押印をして、公正証書遺言が完成します。

証人の役割は、遺言の内容について判断したり、助言したりすることではありません。

あくまで、公証人のもとで読み合わせと署名押印が行われた場に同席し、手続きがそのように行われたことを示すために署名押印をする立場です。

証人は内容を決めたりする立場ではないため、「法律に詳しくないと務まらないのでは」と心配する必要はありません。

なお、遺言者が高齢や病気などの事情で公証役場に行けない場合には、公証人が病院や自宅などに出向いて作成を行うこともありますが、その場合でも証人2人の立ち会いは必要です。

場所が変わっても、証人が同席するという点は変わりません

4-3. 作成後の遺言書は公証役場で保管

公正証書遺言が完成すると、その原本は公証役場で保管されます。

遺言者には、正本や謄本が交付され、相続手続きの際にはこれらを使用します。

前述したとおり、証人の役割は、公正証書遺言の作成当日に立ち会い、署名と押印を行うところまでです。

作成後に、証人が遺言書を保管したり、内容について関与し続けたりすることはありません。

公正証書遺言の仕組みやメリット、作成にかかる費用などについては、別の記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてみてください。

5. よくある質問・Q&A

Q1. 自分で公正証書遺言の証人が見つけられない場合は、どうすればいいですか?
A1. 身近な知人や親族に頼めない場合でも、公正証書遺言を作成できなくなることはありません。
公証役場で証人を紹介してもらう方法や、司法書士・弁護士などの専門家に依頼する方法があります。これらの方法を利用すれば、証人としての条件を満たしているかを自分で判断する必要がなく、手続きを安心して進めることができます。
Q2. 公正証書遺言の証人には、どのような責任がありますか?
A2. 証人は、遺言の内容について判断したり助言したりする立場ではなく、公証人が遺言を読み上げ、遺言者が内容を確認して署名・押印する一連の場に同席し、その手続きが公証人のもとで行われたことを見届けたうえで署名・押印をします。
内容の正しさや相続結果について責任を負うものではありませんが、後日遺言の有効性が争われた場合には、当時の状況について説明を求められることがあります。また、故意や重大な過失によって手続きに問題が生じた場合には、例外的に責任が問われる可能性もあります。
Q3. 公正証書遺言の証人に、遺言の内容は知られてしまいますか?
A3. 公正証書遺言の作成当日は、公証人が遺言の内容を読み上げるため、証人はその場で内容を知ることになります。そのため、「内容を知られても問題がない相手かどうか」は、証人を選ぶ際の一つの判断ポイントになります。内容をできるだけ知られたくない場合は、公証役場で紹介してもらう方法や、守秘義務のある専門家に依頼する方法を検討すると安心です。
Q4. 公正証書遺言の証人は、いつ何をするのですか?
A4. 公正証書遺言の証人が関与するのは、遺言を作成する当日の手続きのみです。
作成前の打ち合わせや、作成後の保管・相続手続きに関わることはありません。公正証書遺言を作成する当日は、公証人のもとで遺言の読み上げと確認が行われ、証人はその場に立ち会い、署名・押印をします。通常はこれで役割は終了しますが、後日遺言の有効性が争われた場合には、当時の状況について説明を求められることがあります。
Q5. 証人は、費用の観点だけで選んでも問題ありませんか?
A5. 法律上は、条件を満たしていれば誰を証人に選んでも構いません。
ただし、費用の安さだけで判断すると、「内容を知られて困らないか」「当日きちんと立ち会ってもらえるか」といった点で後から不安が生じることもあります。費用は一つの目安にしつつ、「安心して任せられるか」「自分の状況に合っているか」という視点で選ぶことが大切です。判断に迷う場合は、公証役場や専門家に相談しながら進めると安心です。

6. nocosにできること

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正木 博

保有資格・・・司法書士・行政書士・社会保険労務士・宅地建物取引士
得意分野・・・相続全般(特に遺言・相続手続きなど)

年間約30件ほどのセミナーを行い、
これまで携わった相続手続き累計件数 5,000件以上

宮城県司法書士所属 登録番号 宮城 第769号

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