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相続税の課税対象

相続税はかかる場合とかからない場合がある! 相続税の計算方法と課税対象になる財産、ならない財産など、相続税について詳しく解説!

相続が発生した際、相続人は相続税の支払い義務があるかどうかを確認する必要があります。相続税は、相続財産の総額が一定の基礎控除額を超える場合に課税されます。本コラムでは、相続税の計算方法や、課税対象になる財産とならない財産について詳しく解説します。

  • 相続税の課税対象になる財産とならない財産について
  • 相続税額を抑えることのできる特例・控除について
  • 相続税の申告方法と期限について

1. 相続税とは?

相続税とは、故人が残した財産を相続する際に課される税金です。相続税は、相続人が受け取る財産の総額に基づいて計算されますが、すべての財産が課税対象となるわけではありません。また、一定の基礎控除額が設定されており、その範囲内であれば相続税はかかりません。

2. 相続税の課税対象となる財産

相続税の課税対象となる財産には以下のようなものがあります。
中でも、相続人が受け取った死亡保険金や退職手当金は、遺産分割の対象とはなりませんが、相続税法上は「みなし相続財産」として扱われることに注意しましょう。

3. 相続税の課税対象とならない財産

相続税の課税対象とならない財産には以下のようなものがあります。

4. 相続税がかかる場合、かからない場合

相続税は、相続財産の総額が基礎控除額を超える場合にのみかかります。
基礎控除額は以下の計算式で求められます。

 基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

【基礎控除額早見表】

 法定相続人の数基礎控除額
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円
5人6,000万円

 具体例①
 相続財産が5,000万円で、法定相続人が2人の場合、基礎控除額は4,200万円です。
 この場合、超過額の800万円に対して相続税が課されます。

 具体例②
 相続財産が4,500万円で、法定相続人が3人の場合、基礎控除額は4,800万円です。
 この場合、相続財産の総額が基礎控除額以内であるため、相続税はかかりません。

5. 基礎控除額を超えても税金が発生しないさまざまな特例・控除とその具体例

基礎控除額を超えても、以下のような特例や控除を活用することで相続税が発生しない場合があります。

5-1. 配偶者の税額軽減

配偶者が相続する財産については、法定相続分または1億6,000万円のいずれか大きい金額まで、相続税が課されません。
例えば、相続財産が2億円で配偶者と子供が相続する場合、配偶者が1億6,000万円を相続する際には、その全額が非課税となります。他の相続人(例えば、子供)に分配された残りの4,000万円に対してのみ、相続税が課されます。
この結果、配偶者が受ける税負担が大幅に軽減され、生活の維持がしやすくなります。

5-2. 小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例は、被相続人が住んでいた宅地や事業用の宅地について、その評価額を大幅に減額する特例です。 住宅用地の場合、評価額が最大80%減額されます。事業用地の場合、評価額が最大50%減額されます。
例えば、被相続人が居住していた土地の評価額が5,000万円の場合、この特例を適用すると評価額が1,000万円に減額されます。この結果、相続税の対象となる評価額が大幅に減るため、相続税の負担が軽減されます。

5-3. 未成年者控除

未成年者控除は、相続人が18歳未満の未成年者である場合に適用される規定です。
相続人が18歳になるまでの年数に応じて、1年あたり10万円(特別障害者の場合は20万円)の控除が適用されます。

5-4. 障害者控除

障害者控除は、相続人が85歳未満の障害者である場合に適用される規定です。
相続人が85歳になるまでの年数に応じて、1年あたり10万円(特別障害者の場合は20万円)の控除が適用されます。

5-5. 相次相続控除

相次相続控除は、前回の相続から10年以内に次の相続が発生した場合に適用される控除で、前回の相続で課税された相続税額の一部が、今回の相続税額から控除されます。
控除額は、前回の相続で納付した相続税額の一定割合となります。

6. 相続税の計算方法

相続税の計算は以下のステップで行います

①遺産総額を出す
 被相続人のすべての財産を評価し、総額を計算します。死亡保険などの「みなし財産」も含めます。
 小規模宅地等の特例を使う場合はここで適用します。

②基礎控除額を差し引く
 遺産総額から基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を差し引きます。
 死亡保険の控除(500万円 × 法定相続人の数)があればここで引きます。

③法定相続分に応じた各相続人の相続税額の計算
 基礎控除後の金額が正(資産総額が基礎控除額を超える)の場合、その金額に法定相続分をかけて、各相続人の法定相続額を出します。
 次に、各相続人の法定相続額に税率表に従った税率をかけて、仮の相続税額を計算します。

法定相続分に応じた各相続人の取得金額相続税率控除額
〜1,000万円10%0円
1,000万円〜3,000万円15%50万円
3,000万円〜5,000万円20%200万円
5,000万円〜1億円30%700万円
1億円〜2億円40%1,700万円
2億円〜3億円45%2,700万円
3億円~6億円50%4,200万円
6億円~55%7,200万円

④相続税額の合算
 各相続人の仮の相続税額を合算して、相続全体の相続税額を出します。

⑤各相続人の相続税額の計算
 遺産分割協議で定まった分割割合をかけて、各相続人の負担する相続税額を出します。
 故人の配偶者が相続する分に関しては、ここで配偶者控除を適用します。

⑥申告
 相続税を税務署へと申告し、納税を行います。

7. 相続税の申告と納税の時期は?

相続税の申告と納税は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内に行わなければなりません。
この期間内に、相続財産の評価や相続人間の協議を行い、申告書を作成して税務署に提出する必要があり、期限を過ぎると延滞税や加算税が発生する可能性があるため、できるだけ早く取り掛かりましょう。

7-1. 相続税の申告書作成

相続財産の評価や相続人間の協議を基に、相続税の申告書を作成します。必要な書類を揃えて、正確な申告を行います。

7-2. 税務署への提出

申告書を税務署に提出します。郵送や電子申告が可能です。申告期限内に提出することが重要です。

7-3. 納税

申告した相続税額を納税します。納税方法には、銀行振込やコンビニ支払い、口座振替などがあります。

8. 自分で申告した場合の税務調査が入る確率と追徴課税

相続税の申告を自分で行うことは可能ですが、正確な申告が求められます。
税務署は相続税の申告内容を厳しくチェックするため、誤りや漏れがあると税務調査が入る可能性があります。

8-1. 税務調査が入る確率

相続税の申告において、税務調査が入る確率は一般的に高いとされています。特に、大きな財産や複雑な資産構成がある場合には、税務署は詳細な調査を行うことが多いです。
自分で申告を行った場合、専門家のチェックがないため、誤りや漏れが発生しやすく、税務調査が入る確率が高くなる傾向にあるので、注意しましょう。

8-2. 追徴課税

税務調査の結果、申告内容に誤りや漏れがあった場合、追加で納税を求められることがあります。この追徴課税には、納付が遅れたことによる延滞税や、申告内容に誤りがあった場合の加算税が含まれます。
追徴課税は本来の相続税額に加えて支払う必要があるため、経済的な負担が大きくなる可能性があります。

9. よくある質問

Q1: 相続財産に借金が含まれている場合、相続税はどうなりますか?
A1: 相続財産に借金が含まれている場合、相続財産の総額から借金を差し引いた純資産額が相続税の課税対象となります。
Q2: 特例を適用するためにはどのような手続きが必要ですか?
A2: 特例を適用するためには、相続税の申告書に必要な書類を添付して税務署に提出する必要があります。具体的な書類や手続きについては、税理士に相談するとよいでしょう。

10. nocosにできること

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