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遺言書

遺言書は作成すべき? 遺言書の種類や作成時の注意点をわかりやすく解説します

遺言書は、自分の財産や思いを家族や大切な人に確実に伝えるための重要な文書です。遺言書を作成することで、遺産分割のトラブルを防ぎ、家族の負担を軽減することができます。このコラムでは、遺言書の種類や作成時の注意点についてわかりやすく解説します。

  • 遺言書の種類について
  • 遺言書を作成する時に注意する点
  • 遺言書を作成するための具体的な手順

1. 遺言とは

遺言とは、自分の財産を誰にどのように残したいか、自分の意思や想いを確実に伝えるための手段です。
遺言を記した遺言書を作成することで、自分の思いを正しく伝え、家族の間でのトラブルを避けることができます。

2. 遺言書を作成したほうが良い理由

遺言書を作成したほうが良い理由としては、以下のようなものが考えられます。

■遺産分割の円滑化
遺言書があれば、家族が遺産をどう分けるかを明確にすることで揉める可能性が低くなります。
特に、法定相続分での分割ではうまくまとまらなさそうな場合には有効です。

■特定の人に財産を残す
遺言書を通じて、法定相続人以外の人物や団体に財産を贈ることができます。 長年お世話になった友人や、慈善団体に寄付をしたい場合などには、遺言書を利用することで実現可能です。

■子供の後見人の指定
もし小さい子供がいる場合、遺言書で信頼できる後見人を指定しておくことができます。

■事業の引き継ぎ
事業を営んでいる場合、遺言書で後継者を明確にすることで、事業のスムーズな引き継ぎが可能となり、従業員や取引先にも安心感を与えることができます。

3. 遺言書の種類

遺言書は主に「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類がありますが、実際に利用されてる遺言書は「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」がほとんどとなっています。
ここでは、それぞれの特徴とメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。

3-1. 自筆証書遺言

■概要と特徴
自筆証書遺言は、遺言者が全文を自筆し、日付、署名を行い、押印することで有効要件は成立します。
自分で簡単に作成でき、費用もかからないのが特徴です。 近年の法改正により、財産目録をパソコンで作成することも認められましたが、その場合でも財産目録に署名は自筆で行い、押印が必要になります。

3-2. 公正証書遺言

■概要と特徴
公正証書遺言は、公証人が遺言者の口述に基づいて作成し、遺言者と公証人、証人2名の立会いのもとで作成されます。 遺言書の原本は公証役場に保管され、改ざんや紛失のリスクが低いです。 公証人が関与するため、法的に有効性が高くトラブルが少ないのも特徴です。

3-3. 秘密証書遺言

■概要と特徴
秘密証書遺言は、遺言者が署名押印した遺言書を封印し、公証人および証人の立会いのもとでその存在を確認してもらいます。 遺言書の内容を知られることなく、安全に保管したい場合に適しています。

4. 遺言書を作成する時の注意点

遺言の要件は厳格です。注意点をしっかり確認していきましょう。

4-1. 法的要件の確認

遺言書が法的に有効であるためには、形式的な要件を満たしている必要があります。
特に自筆証書遺言は、原則として全文を自筆することが求められます。
法律の定める形式を守らなければ、遺言書が無効になる可能性があるため、注意が必要です。

4-2. 証人の選定

公正証書遺言や秘密証書遺言では、証人が必要です。
証人は18歳以上の人であれば誰でも良いですが、相続人やその配偶者、直系血族及び受遺者等、利害関係人は証人になれません。

4-3. 財産の具体的な分配

遺産分割の方法や具体的な分け方を明確に記載することが重要です。
不明確な記述は、相続人間のトラブルを招く可能性があります。
例えば、「長男に家を渡す」という記載だけでは不十分で、具体的な登記情報などを記載する必要があります。

4-4. 遺留分への配慮

法定相続人(兄弟姉妹および甥姪を除く)には遺留分という権利があります。
遺言書でも遺留分を侵害することはできないため、遺留分を考慮した上で遺産分配を計画する必要があります。
遺留分を無視した遺言書を作成すると、相続人から異議を申し立てられる可能性があります。

4-5. 定期的な見直し

遺言書は一度作成して終わりではありません。家族構成や財産状況の変化に応じて、定期的に見直し、必要に応じて更新することが重要です。
例えば、新たな財産が増えたり、相続人に変化があった場合には、遺言書を更新することを検討しましょう。

5. 付言事項の重要性

■相続人への感謝や謝罪
感謝の気持ちや謝罪を記載することで、遺族の心の整理を助けます。
例えば、「長い間家族を支えてくれてありがとう」というメッセージは、遺族にとって大きな慰めになります。

■財産分配の理由
特定の相続人に対する財産分配の理由を明記することで、他の相続人に納得感を与えます。
例えば、「長男には家業を継いでもらうために家を相続させます」という理由を記載することで、他の相続人も納得しやすくなります。

■遺産の使用目的の指示
遺産の具体的な使用目的を記載することで、相続人が遺言者の意思を尊重しやすくなります。
例えば、「この土地は家族の集まりの場所として使ってほしい」という指示を記載することができます。

■家族間の絆を強調するメッセージ
家族間の絆を強調するメッセージを記載することで、相続人が協力して遺産分割を進める動機付けになります。
例えば、「家族みんなで仲良く協力して遺産を分けてほしい」というメッセージを遺すことができます。

6. 遺言執行者

「遺言執行者」とは、「遺言書の内容を執行する者」のことであり、多くの場合は遺言者が遺言書において指定します。複数人が遺言執行者になることや、法人がなることも可能ですが、未成年者および破産者は遺言執行者になることができません。

■遺言執行者の役割
遺言執行者は、遺言書の内容を実現するために必要な手続きを行う人物で、遺産分割、財産の名義変更、借金の返済など、様々な業務を遂行します。
遺言執行者を指定することで、相続人間の争いを避け、遺産分割を円滑に進めることに期待できます。

■遺言執行者の選び方
信頼できる親族や友人のほか、弁護士・司法書士などの専門家を遺言執行者として指定することも可能です。
専門家を選ぶメリットとして、法律的なトラブルを避けることができる点があります。 特に、遺産が多岐にわたる場合や相続人が多数いる場合は、専門家の関与が有効です。

7. 遺言書の検認

遺言書の検認とは、家庭裁判所で検認の日現在における遺言書の偽造・変造をする防止する手続きです。
自筆証書遺言の場合、遺言書保管制度で法務局に原本を保管している場合を除き、検認の手続きが必要となります。
遺言書の検認は、相続手続きを進めるための第一歩であり、遺言書の存在を相続人全員に知らせる役割も果たします。

■検認の流れ
遺言書の検認手続きは、相続人が家庭裁判所に検認の申立てを行うことで開始します。
検認の申立てがあると、家庭裁判所は相続人に対し検認を行う日の通知をします(申立人以外の相続人が検認期日に出席するかどうかは各人の判断に任されているため、全員がそろわなくても検認手続は行われます)
検認の当日、裁判官は遺言書を開封の上で検認します。
検認手続きが完了した後は、遺言書の内容に基づいて遺産分割が進められます。

■注意点
検認は遺言書の形状を確認するものであり、遺言書の内容の有効性を確認するものではないことに注意が必要です。

8. 自筆証書遺言書保管制度

自筆証書遺言を法務局に預けることができる、自筆証書遺言書保管制度というものがあります。これにより、遺言書の紛失や改ざんのリスクを防げるとともに、家庭裁判所での検認手続きが不要となるなど有用な制度です。

■手続き方法
遺言書を作成した後、直接法務局に出向いて遺言書の保管申請を行います。手数料は遺言書1通あたり3900円です。

9. 遺言書作成の専門家

では、遺言書の作成を専門家に依頼したい場合は、どの専門家に相談すればよいのでしょうか。

■専門家の役割と依頼先
遺言書の作成には、法的な知識や手続きが必要です。 司法書士、行政書士、弁護士などを頼ることで遺言書の形式的な不備や法律的な問題を避けることができます。

■専門家へ依頼する際の費用
専門家へ依頼する場合、通常は公正証書遺言の作成サポートとなります。 この場合、専門家への報酬に加えて、公証役場での手数料などがかかるため注意が必要です。 司法書士や行政書士の報酬目安は十数万円前後、弁護士の場合は十数万円~数十万円程度となります。 また、公証役場での手数料は、財産の額に応じて異なり、数万円~数十万円が目安です。

10. よくある質問

Q1: 遺言書を作成するタイミングはいつが良いですか?
A1 : 遺言書はいつでも作成できますが、特に結婚、離婚、子供の誕生、事業の開始や売却など、人生の大きな変化がある時に見直すことをお勧めします。また、年齢を重ねる前、健康状態が変わる前に準備しておくと安心です。
Q2 : 遺言書が見つからない場合、どうすれば良いですか?
A2 : 公正証書遺言の場合は、相続人が公証役場に問い合わせることで、遺言書の有無を確認可能です。自筆証書遺言の場合は故人の持ち物を確認したり、親しい親族や友人に尋ねるしかありませんが、もし生前に故人が遺言書保管制度を利用していたなら、法務局に問い合わせることで確認が可能です。
Q3 : 複数の遺言書が存在する場合、どの遺言書が有効ですか?
A3 : 一般的には、最も新しい日付の遺言書が有効です。複数の遺言書が矛盾する場合は、訴訟することにより家庭裁判所での判断が必要になることもあります。
Q4 : 遺言書を作成した後に財産が増えた場合、どうすれば良いですか?
A4 : 新たな財産が増えた場合、その財産の分配方法を明記した追加の遺言書を作成するか、既存の遺言書を修正することで対応できます。遺言書は定期的に見直し、必要に応じて更新することが重要です。
Q5 : 遺言書を作成する際に注意したほうが良い法律上の問題は何ですか?
A5 : 遺言書の形式的な要件を満たしているか、また、遺留分についても考慮しておいた方が良いでしょう。司法書士や弁護士など、専門家の助力でこれらの問題を適切にクリアすることができるため、まずは専門家に相談するのも有効です。

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