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法定相続情報一覧図とは?作成・取得の流れと活用方法

法定相続情報一覧図とは?作成・取得の流れと活用方法

相続手続きを進める際には、戸籍謄本一式を何度も提出しなければならず、大きな負担になることがあります。法定相続情報一覧図は、この様な負担を軽減するために作られた制度で、相続関係を一覧化した公的な証明書として、相続登記や預貯金の解約など幅広い手続きで利用できます。本記事では、法定相続情報一覧図の基本から、取得方法、必要書類、注意点、活用方法まで、司法書士の視点でわかりやすく解説します。

この記事を要約すると

  • 法定相続情報一覧図とは、相続人が作成した相続関係の一覧図について、法務局が戸籍謄本等を確認し認証した証明書です。相続登記や預貯金の解約など、多くの相続手続きで戸籍謄本一式の代わりとして利用できるため、手続きの負担軽減に役立ちます。
  • 法定相続情報一覧図は、法務局へ申出をしても即日交付してもらえるわけではありません。戸籍謄本等の内容確認が行われるため、通常は数日から1〜2週間程度、相続関係が複雑な場合や繁忙期にはさらに時間を要することもあります。
  • 法定相続情報一覧図の申出及び受領手続きでは、申出書への押印は不要で、印鑑証明書の提出も求められません。ただし、司法書士などの専門家へ依頼する場合には、事務所の取扱いによって委任状への押印を求められることがあります。

1. 法定相続情報一覧図とは

1-1. 法定相続情報一覧図の概要

法定相続情報一覧図とは、亡くなった方(被相続人)と相続人の関係を一覧で示した書類です。法務局が戸籍謄本等の内容を確認し、認証文を付けた「法定相続情報一覧図の写し」を交付します。

相続手続きでは、不動産の名義変更、預貯金の解約、有価証券の名義変更など、さまざまな場面で戸籍謄本の提出が必要になります。

そして、提出先ごとに「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」や「相続人全員の戸籍謄本」などを求められるため、何度も提出や返却を繰り返さなければならず、大きな負担になっていました。

そこで、相続人の負担軽減や相続登記の促進を目的として、2017年に法定相続情報証明制度が開始されました。

法定相続情報一覧図を作成しておけば、多くの相続手続きで戸籍謄本一式の代わりとして利用できるため、複数の手続きを並行して進めやすくなります。

特に、不動産や預貯金など相続財産が複数あるケースでは、活用される場面の多い制度です。

1-2. 戸籍謄本との違い

戸籍謄本とは、家族関係や身分関係を公的に証明する書類です。氏名、生年月日、婚姻、親子関係、死亡などが記載されており、相続手続きでは「誰が相続人なのか」を確認するための基礎資料になります。

一方、法定相続情報一覧図は、戸籍謄本そのものではありません。相続人等が作成した相続関係の一覧図について、法務局が戸籍謄本等の内容を確認し、認証した証明書です。

そのため、法定相続情報一覧図を取得する際にも、まずは被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等を収集し、法務局へ提出する必要があります。

つまり、法定相続情報一覧図は「戸籍収集を省略する制度」ではなく、収集した戸籍の内容を一覧化し、その後の相続手続きを進めやすくする制度といえます。

一度作成しておけば、多くの相続手続きで戸籍謄本一式の代わりとして利用できるため、提出書類を簡略化できる点が特徴です。

なお、2024年からは戸籍の広域交付制度も始まり、本籍地以外の市区町村でも一定の戸籍を取得できるようになりましたが、相続手続きごとに戸籍提出が必要になる点は変わらないため、現在でも法定相続情報一覧図を活用するメリットがあります。

1-3. 相続関係説明図との違い

法定相続情報一覧図と似た書類として、「相続関係説明図」があります。どちらも被相続人と相続人の関係を図で示す点は共通していますが、性質や使い方には違いがあります。

相続関係説明図は、戸籍謄本の内容を整理して相続関係をわかりやすく示すための資料です。主に相続登記で利用され、相続人自身や専門家が作成します。

ただし、あくまで説明資料であるため、それ単体で戸籍謄本の代わりになるわけではありません。戸籍謄本等とあわせて提出します。

これに対して、法定相続情報一覧図は、法務局が戸籍謄本等を確認し、認証を行った公的な証明書です。多くの相続手続きで戸籍謄本一式の代わりとして利用できる点が大きな違いといえます。

つまり、相続関係説明図は「相続関係を整理して示すための資料」、法定相続情報一覧図は「法務局が認証した相続関係の証明書」という違いがあります。

2. 法定相続情報一覧図が使える場面とメリット

2-1. 法定相続情報一覧図を利用できる主な手続き

法定相続情報一覧図は、相続関係を証明する書類として、さまざまな相続手続きで利用されています。

主な利用場面は以下のとおりです。

  • 不動産の相続登記
  • 預貯金の解約・名義変更
  • 有価証券の名義変更
  • 自動車の名義変更
  • 相続税の申告
  • 遺族年金、未支給年金の手続き

もっとも、手続きによっては法定相続情報一覧図のほかに追加書類の提出を求められる場合があるため、事前に確認しておくと安心です。

2-2. 法定相続情報一覧図を利用するメリット

法定相続情報一覧図の大きなメリットは、相続手続きにおける提出書類を簡略化できる点にあります。

通常、相続手続きでは、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や、相続人全員の戸籍謄本などを提出しなければなりません。

戸籍謄本は返却を受けながら使うこともできますが、提出先ごとの手続きが必要になるため、複数の相続手続きを並行して進める際には負担になることがあります。

法定相続情報一覧図を取得しておけば、多くの手続きでこれらの戸籍謄本一式の代わりとして利用できます。

また、法定相続情報一覧図の写しは複数枚取得できるため、不動産、銀行、証券会社など複数の手続きを同時に進めやすくなります。戸籍謄本の返却を待つ必要がなくなる点もメリットといえるでしょう。

さらに、法定相続情報一覧図そのものの交付手数料はかかりません。

一度申し出た法定相続情報一覧図は、法務局で5年間保管され、その期間内であれば再交付を受けることも可能です。

特に、相続財産の種類が多い場合や、複数の金融機関で手続きを行う必要がある場合には、相続手続き全体の負担軽減につながる制度といえます。

2-3. 法定相続情報一覧図が利用できないケースと利用メリットが小さいケース

法定相続情報一覧図は便利な制度ですが、すべての相続で作成することが最善とは限りません。

① 利用メリットが小さいケース

相続手続きが一つのみの場合のように提出先が少ないケースでは、戸籍謄本のみで手続きを進めることもあります。

法定相続情報一覧図を取得するには、戸籍謄本等を収集したうえで、一覧図を作成し、法務局へ申出を行う必要があります。また、申出後も交付まで数日から1〜2週間程度かかることがあります。

そのため、提出先が一つだけであれば、法定相続情報一覧図を作成する手間や交付までの期間を考えると、戸籍謄本のみで対応した方が進めやすい場合があります。

② 制度を利用できないケース

法定相続情報一覧図の作成には戸籍謄本が必要ですが、外国籍の方には日本の戸籍制度が適用されません。

そのため、被相続人や相続人に外国籍の方が含まれる場合には、法定相続情報一覧図を利用することができません。

3. 法定相続情報一覧図の作成・取得の流れ

3-1. 戸籍謄本などの必要書類を収集する

法定相続情報一覧図を取得するためには、まず戸籍謄本等の必要書類を収集する必要があります。

主に必要となる書類は、以下のとおりです。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍
  • 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • (一覧図に住所を記載する場合)相続人の住民票

戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場で取得します。一般的な戸籍謄本は1通450円、除籍謄本や改製原戸籍は1通750円です。被相続人の本籍移転が多い場合などは、取得通数が増えることもあります。

2024年から始まった戸籍の広域交付制度により、本籍地以外の市区町村窓口でも一定の戸籍を取得できるようになりました。そのため、以前と比べると戸籍収集の負担は軽減されています。

戸籍の広域交付制度については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

3-2. 法定相続情報一覧図を作成する

必要書類を収集したら、法定相続情報一覧図を作成します。

法定相続情報一覧図には、被相続人の氏名・生年月日・死亡年月日・最後の住所のほか、相続人の氏名や続柄などを記載します。記載内容は、提出する戸籍謄本等と一致していなければなりません。

法定相続情報一覧図では、被相続人から見た相続人の続柄を記載します。特に養子がいる場合には、実子と養子が区別できるように記載する必要があります。

また、相続税では養子の人数によって法定相続人の数え方が変わる場合があるため、相続税申告で利用する際には、続柄の記載内容にも注意が必要です。

作成は、手書き・パソコン作成のいずれでも差し支えありません。用紙はA4サイズの縦向きを使用し、下部には法務局の認証文が記載されるため、一定の余白を空けて作成します。

法務局のホームページでは、法定相続人の構成ごとに記載例や様式が公開されているため、それらを参考に作成するとスムーズです。

法定相続人が配偶者及び子である場合の一例 法務局HPより引用

3-3. 法務局へ申出を行う

定相続情報一覧図を作成したら、必要書類とあわせて法務局へ申出を行います。

法定相続情報一覧図の申出は、相続人本人が行うことができます。また、法定代理人のほか、委任を受けた代理人による申出も可能です。

申出の際には、「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」を作成し、戸籍謄本等とともに提出します。申出書の様式や記載例は、法務局のホームページで公開されています。

なお、法定相続情報一覧図の申出では、申出書への押印は不要です。そのため、印鑑証明書の提出も求められません。

提出先となる法務局は、以下のいずれかを管轄する法務局です。

  • 被相続人の本籍地
  • 被相続人の最後の住所地
  • 申出人の住所地
  • 被相続人名義の不動産所在地

申出は法務局窓口へ直接提出するほか、郵送による申出も可能です。

法務局への申出自体に手数料はかかりません。ただし、郵送で申出を行う場合には、返信用封筒や切手代等が必要になります。

3-4. 交付までの期間と再交付

3-4. 交付までの期間と再交付

法定相続情報一覧図は、法務局へ申出をしても即日交付してもらえるわけではありません。法務局で戸籍謄本等の内容確認が行われるため、通常は数日から1〜2週間程度かかります。

特に、相続関係が複雑なケースや、法務局の繁忙時期には、通常より時間を要することもあります。相続税申告など、期限が関係する手続きを予定している場合には、余裕をもって準備することが大切です。

法定相続情報一覧図の写しは複数枚取得することができ、窓口で受け取る場合には、本人確認書類の提示を求められます。

さらに、一度申し出た一覧図は法務局で5年間保管されるため、その期間内であれば無料で再交付を受けることも可能です。

4. 法定相続情報一覧図を利用する際の注意点

4-1. 法定相続情報一覧図に有効期限はない

法定相続情報一覧図そのものには、有効期限はありません。そのため、一度取得した法定相続情報一覧図を後日あらためて利用すること自体は可能です。

また、法務局では一覧図を5年間保管しているため、その期間内であれば再交付を受けることもできます。

もっとも、提出先によっては、発行から一定期間以内の書類提出を求められる場合があります。

特に金融機関などでは、内部ルールとして発行後○か月以内の提出を求めるケースもあるため、事前に確認しておくと安心です。

4-2. 法定相続情報一覧図だけでは手続きできない場合がある

法定相続情報一覧図は、多くの相続手続きで戸籍謄本一式の代わりとして利用できますが、法定相続情報一覧図だけで、すべての相続手続きに対応できるわけではありません。

法定相続情報一覧図は、戸籍謄本等の記載に基づいて法定相続人を証明する制度です。そのため、戸籍から確認できない相続放棄や相続欠格などの事実は反映されません。

例えば、相続放棄をした人がいる場合には相続放棄申述受理証明書、相続欠格が問題となる場合には相続欠格であることを証明する書類(相続欠格証明書や確定判決書など)の提出を求められることがあります。

このように、法定相続情報一覧図は相続手続きを効率化するための制度ですが、手続きによっては法定相続情報一覧図だけでは足りず、別途書類の提出が必要になることがあります。事前に提出先へ確認しておくと安心です。

5. よくある質問

Q1. 法定相続情報一覧図の作成は義務ですか?
A1. 義務ではありません。戸籍謄本等を提出して相続手続きを進めることも可能です。ただし、複数の金融機関や不動産の手続きがある場合には、法定相続情報一覧図を作成した方が負担を軽減できることがあります。
Q2. 法定相続情報一覧図は何通まで取得できますか?
A2. 必要な枚数の範囲で複数の写しを取得できます。また、法務局で5年間保管されるため、その期間内であれば再交付を受けることも可能です。
Q3. 法定相続情報一覧図は郵送で申出できますか?
A3. 可能です。申出書や必要書類を法務局へ郵送して手続きを行うことができます。返送を希望する場合は、切手を貼付した返信用封筒やレターパック等もあわせて提出します。
Q4. 法定相続情報一覧図の取得にどのくらい時間がかかりますか?
A4. 法務局の確認が必要となるため、通常は数日から1〜2週間程度かかります。相続関係が複雑な場合や繁忙期には、さらに時間を要することもあります。
Q5. 法定相続情報一覧図があれば戸籍謄本は不要ですか?
A5. 多くの相続手続きでは戸籍謄本一式の代わりとして利用できます。ただし、相続放棄や相続欠格など、法定相続情報一覧図だけでは確認できない事項がある場合には、別途書類の提出を求められることがあります

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正木 博

保有資格・・・司法書士・行政書士・社会保険労務士・宅地建物取引士
得意分野・・・相続全般(特に遺言・相続手続きなど)

年間約30件ほどのセミナーを行い、
これまで携わった相続手続き累計件数 5,000件以上

宮城県司法書士所属 登録番号 宮城 第769号

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