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不動産売却

相続不動産を売却する際に気を付けることとは 費用や特例について解説

相続により引き継いだ不動産を売る場合、どのような手続きが必要になるのでしょう。売却までの流れや費用など、分からないことも多いと思います。このコラムでは、相続した不動産を売却する際の注意点を丁寧に解説してゆきます。

この記事で分かること

  • 相続した不動産を売却する際の注意点
  • 相続した不動産を売却する際の費用
  • 相続した不動産を売却する際の税金と特例

1. 相続した不動産を売却する前に最初にやるべきこと

不動産を相続した場合、最初に取り組むべき手続きが「相続登記(名義変更)」です。
不動産の名義を相続人に変更しない限り、売却手続きは進めることができません。相続した不動産を将来的に売却するかどうかに関わらず、この手続きは必須です。
登記手続きを行うことで、売却だけでなく、第三者への譲渡や融資の際にも支障をきたすことがなくなります。

1-1. 相続登記とは?その役割と重要性

相続登記は、不動産の所有名義を、故人から相続人等に変更するための手続きです。
この手続きがなされていない場合、売却を進めることはもちろん、不動産を担保にした融資などの取引もできなくなるため、早めに対応しておいた方が良いでしょう。
また、2024年4月1日より、相続登記は義務化されているため、登記を怠ることによるペナルティが発生するリスクもあります。

1-2. 相続登記の基本的な流れ

相続登記は、必要書類を揃えたうえで、不動産の所在がある法務局に申請します。
基本的には、以下のステップで進められます。

■相続人の確定と遺産分割協議

遺言書があればその内容に従い、なければ法定相続人による遺産分割協議を行います。

■必要書類の収集

被相続人の戸籍謄本、相続人の戸籍謄本、不動産の登記事項証明書などの書類を揃えます。

■登記申請書類の作成と提出

法務局に相続登記申請書を提出します。司法書士に依頼すると手続きをスムーズに進めることができます。

1-3. 相続登記の期限とその影響

相続登記には2024年4月1日から明確な期限が設けられており、相続発生から3年以内に相続登記をしない場合、罰則が科されるリスクがあります。
また、相続人の一人が亡くなると新たな相続が発生し、さらに相続人が増えるため、手続きが複雑化する可能性も高くなります。そのため、相続登記はできるだけ早く進めることが望ましいです。

2. 相続登記を怠るリスクとは?売却が進まないだけではない!

相続登記を怠った場合、単に売却が進まないという問題だけでなく、他にもリスクが伴います。それは、売却に必要な所有権の移転ができないという実務的な問題に加え、相続人間でのトラブルが発生する可能性などです。

2-1. 売却できない理由と取引に支障が出るケース

相続登記を行わないままでは、不動産の所有者が被相続人のままであるため、売却を進めることができません。
買主が購入を希望しても、所有権が相続人に移っていない場合、正式な契約を締結することができないからです。
これにより、売却の遅延が生じ、資金計画が狂うこともあります。

2-2. 他の相続人とのトラブル回避のために

相続登記を放置していると、他の相続人との間でトラブルが発生する可能性もあります。
特に、相続人が複数いる場合は、相続人全員の合意が必要となるため、遺産分割協議が長引きます。
また、登記を進めず放置することで相続が複雑化し、さらに手続きが難しくなる場合もあります。

3. 不動産の価値を正しく把握するためにやるべきこと

不動産の売却を進める前に、その価値を正しく把握することが必要です。
不動産の価値は、物件の立地や状態、周辺の市場価格などによって大きく異なります。不動産会社に依頼して査定を行い、複数の会社から見積もりを取ることで、売却予想価格を確認することが重要です。
また、相場を確認するためにも、インターネットでの相場調査や、近隣での売却事例を参考にすることも有効です。

4. 譲渡所得税と活用できる特例について

相続した不動産を売却する際、譲渡所得税が課される場合があります。
譲渡所得税は、不動産を売却した際に得た利益に対して課税される税金で、その額は利益の大きさに応じて変化します。

4-1. 譲渡所得税の仕組みと計算方法

譲渡所得税は、売却価格から不動産の取得費や譲渡費用を差し引いた「譲渡所得」に対して課税されます。
不動産の取得費は、故人が購入した際の費用を使用しますが、それが不明な場合は売却価格の5%を概算取得費として扱います。売却価格からこれらを差し引いた金額が譲渡所得となり、その所得に対して課税されることになりす。

4-2. 特例を活用する方法

譲渡所得税を軽減するために利用できる特例として、「空き家の3,000万円特別控除」などがあります。
これらの特例を活用することで、譲渡所得額を抑え、結果として納める税金を減らせる場合がありますが、特例の適用には条件があるため、事前に確認しておくことが重要です。

5. 売却にかかるその他の費用を把握しよう

不動産を売却する際には、仲介手数料、印紙税、測量費用など、さまざまな費用がかかります。

【仲介手数料】

不動産会社に売却を依頼し、売買契約が成立した際に支払う報酬です。
この手数料は、売却価格に応じて変動し、法律で上限が定められています。

他にも、測量が必要な土地や、解体が必要な建物の場合、追加の費用が発生することもあるため、事前に確認しておきましょう。

6. 譲渡所得税の税率に影響する所有期間を理解する

譲渡所得税の税率は、売却時点での所有期間によって異なります。
相続した不動産の場合、被相続人の所有期間を引き継ぐことができるため、長期譲渡所得として適用されることが多いです。

7. 専門家に依頼するメリットと注意点

不動産の売却自体は、不動産会社が仲介して進めることが一般的ですが、相続した不動産を売却する場合、相続登記や税申告などの関連手続きを含めた一連の手続きとして、司法書士や税理士と連携しながら進めていくことができるとスムーズです。
各専門家はそれぞれのつながりで、必要な手続きに応じた専門家を紹介できる場合もあるので、尋ねてみると良いでしょう。

8. 売却後の確定申告のポイント:譲渡所得税の申告を忘れずに!

不動産を売却した場合、その翌年には譲渡所得税の確定申告を行う必要があります。特例を適用する場合も、この確定申告の際に申請するため、忘れずに手続きを行いましょう。売却した年の翌年2月16日から3月15日までに申告を済ませる必要があります。

9. よくある質問

Q1:相続登記をしないまま不動産を売却できる?
A1: 相続登記が完了していないと、所有権が相続人に移転していないため、不動産を売却することはできません。先に相続登記を行いましょう。
Q2:相続した不動産を売却するとどのくらい税金がかかる?
A2:譲渡所得税や印紙税、仲介手数料などが発生します。特例を利用して税負担を軽減することも可能です。
Q3:相続登記は自分でできる?専門家に依頼すべき?
A3:自分で手続きを行うことは可能ですが、書類の準備や手続きが複雑な場合には、司法書士に依頼する方がスムーズで確実です。
Q4:不動産を売却するのにどのくらいの期間がかかる?
A4:物件の状態や市場の状況、希望の売却条件によって様々ですが、査定や交渉を含めて早ければ3カ月程度、長ければ1年以上かかる場合もあります。
Q5: 不動産を共有名義で相続した場合、売却はどうなる?
A5: 共有名義で相続した不動産を売却する場合、共有者全員の同意が必要です。また、売却時には共有者全員が署名・押印する必要があるため、事前にしっかりと話し合いを行い、同意を得ておくことが重要です。

10. nocosにできること

nocosを運営するNCPグループは、司法書士・行政書士・税理士等の有資格者100名以上を要する、相続手続きに特化した専門集団です。2004年の創業以来、累計受託件数80,000件以上の実績を重ね、現在、日本全国での相続案件受託件数No.1※となっています。全国の最寄りの事務所やご自宅へのご訪問、オンライン面談等で資格者が直接ご相談を承りますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

正木 博

保有資格・・・司法書士・行政書士・社会保険労務士・宅地建物取引士
得意分野・・・相続全般(特に遺言・相続手続きなど)

年間約30件ほどのセミナーを行い、
これまで携わった相続手続き累計件数 5,000件以上

宮城県司法書士所属 登録番号 宮城 第769号

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